エニアグラム診断とは？

エニアグラム診断は、個々の性格と行動パターンを9つの異なるタイプに分類する心理学的ツールです。 この理論は、1960年代に形成され、1970年代以降、精神医学や心理学の分野で注目を集めました。エニアグラムは、ギリシャ語で「9」と「図」を意味し、9点とそれを繋ぐ線から成る図形に基づいています。 その起源は古代ギリシャやエジプトにまで遡るとされています。エニアグラムの主な目的は、個人の自己理解と他者への理解を深めることです。 このツールを通じて、個人は自分の長所、短所、行動傾向をより深く理解し、自己成長に繋げることができます。また、他者との関係性を改善し、寛容性を高める助けにもなります。 この診断法は、教育やビジネスの場でも利用されています。教育関係者、医師、心理療法士、さらには大企業の研修プログラムにも採用されており、人間関係の改善や適職の把握、人事戦略などに役立てられています。 国内でも1990年前後に「日本エニアグラム学会」が設立され、この学会では、ドン・リチャード・リソ氏とラス・ハドソン氏の理論を中心に、エニアグラムに関する教育と研究を進めています。エニアグラムの特徴は、個々の性格を数値化や解析に頼らず、全体的な特徴として理解することにあります。これにより、人々は自分自身や他者の性格をより簡潔かつ明瞭に把握することができ、自己受容や他者への理解を深める手段として広く用いられています。

3つのセンター(エネルギーセンター)とは？

エニアグラムは、個人の性格を理解するための強力なツールであり、その中心的な概念に「3つのエネルギーセンター」があります。これらのセンターは「ガッツセンター」、「ハートセンター」、「ヘッドセンター」と呼ばれ、人々がどのように世界を感知し反応するかを示します。 これらのセンターは、感情、思考、感覚の三つの側面を代表しています。ガッツセンターは、体感覚や直感を中心にしています。このセンターに属するタイプ8,9,1の人々は、自分の肉体的な感覚や内なる直感に基づき、世界を理解し行動します。 一方で、ハートセンターに属するタイプ2,3,4の人々は、感情や心の状態を中心に世界を見ています。彼らは、自分の気持ちや感情に深く影響され、それに基づいて行動を取ります。ヘッドセンターに属するタイプ5,6,7の人々は、思考や分析を中心に世界を捉えます。彼らは、状況を論理的に理解し、思考に基づいて行動することを好みます。

ウイング(w)とは

エニアグラムでは、9つの性格類型が円形に配置されています。ウイングは、ある人の主要な性格タイプの直接隣にあるタイプの影響を受けるとされています。 例えば、タイプ5の人は、タイプ4（5w4）またはタイプ6（5w6）のウイングの影響を受ける可能性があります。 上記の図はタイプ1の例であり、タイプ2の要素が強ければ1w2、タイプ9の要素が強ければ1w9となります。 ウイングは、人々が単一のタイプに完全に当てはまるわけではないという性格の多様性を反映します。 通常9タイプしか存在しないエニアグラムでも、ウイングの概念を導入することで18タイプとより細かく分類することができます。

トライタイプとは？

トライタイプとは、は、単一のエニアグラムタイプだけではなく、3つのエネルギーセンター（ガッツ、ハート、ヘッド）からそれぞれ一つずつ、合計3つのタイプが個人の性格を形成していると考えます。 この理論では、これらの各センターから一つの代表的なタイプを選び、それらが合わさって一人の個性を形成するとされます。ライタイプは、人がどのように情報を処理し、反応し、対人関係を築くかを理解するのに役立ちます。それぞれのタイプが異なるニーズや恐れ、強み、弱みを持っているため、これらの組み合わせが個々の独特な個性を作り出します。

エニアグラムの統合（成長）とは？

エニアグラムの統合とは、個人がストレスの少ない、心が穏やかな状態にあるときに、よりポジティブな特性が現れるという考え方に基づいています。統合の過程では、各エニアグラムタイプに関連する矢印が、ストレスを感じているときの動きの逆方向を指します。 これは、人がリラックスした状態で自分の感情や行動を客観的に分析し、自己の核となる特性を超えた成長を遂げる機会を意味します。統合のプロセス中、個人は自分のエニアグラムタイプから離れ、矢印が指している別のタイプのポジティブな特性を自然に発揮するようになります。この現象は、個人が自分自身をより深く理解し、内面の平和とバランスを達成したときに起こります。重要なのは、この成長が外部からの模倣ではなく、内面からの自然な変化として現れることです。 エニアグラムの統合は、単に別のタイプの特性を模倣することではなく、自己のタイプに潜在する思考や行動を深く探求し、意識的にコントロールする過程です。この自己コントロールが達成されると、自分のタイプの限界を超えた成長が促進されます。このプロセスを通じて、個人は自分の固定観念や自動的な行動パターンを認識し、それらを超えた行動を取ることが可能になります。

エニアグラムの分裂（ストレス）とは？

エニアグラムの分裂は、個人がストレスや不安を感じた際に現れる特定の行動パターンや心理状態を指します。この理論では、個々のエニアグラムタイプが特定の状況下で他のタイプのマイナス面の特徴を示すことを示唆しています。分裂の状態では、個人の心が不安定になり、通常は見せないような否定的な特性が表面化します。 エニアグラムの分裂は、ストレスや圧力が極端に高まった際に発生します。この状態では、通常の心理的バランスが崩れ、個人は自分自身を保護するために無意識のうちに異なる防御機制を採用します。これにより、通常は抑制されているマイナスの特性や行動が現れるようになります。例えば、平時は冷静な人が、ストレス下では怒りっぽくなるなどがその例です。 この現象の根底には、個人が現実から一時的に逃避しようとする心理的メカニズムがあります。分裂は、厳しい現実や内面の対立から目を背ける一時的な「逃げ道」として機能しますが、これは根本的な問題の解決にはなりません。分裂の特徴が現れることで、個人はその状況から一時的に逃れることができますが、その後には再び現実と向き合う必要があります。